関根勤さん・魔裟斗さん・久松郁実さんが語る!2021年K-1座談会<2>「ベストバウト&新王者編」

2022.01.06

K-1中継のレギュラー解説でお馴染みの関根勤さん・魔裟斗さん・久松郁実さんによる2021年K-1座談会が実現。今回は「ベストバウト&新王者編」として、それぞれが選ぶ年間ベストバウトや2021年に誕生した王者たちについて語り合いました。

――MVPがお三方から野杁正明選手、武尊選手、朝久泰央選手が挙がりましたが、現在、K-1 AWARDSの投票中です。ファンの方は参考にしてください。続いてのトークテーマはベストバウトです。2021年の激闘の数々から「これぞベストバウト」というものをお三方にお聞きします。

魔裟斗 1年間、結構な数の試合を見てきて、悩みますけど、僕は「木村“フィリップ”ミノルvs和島大海」。それまで木村がずっと連続で、和島も2回やって2回倒されてる中で、3度目の試合で逆に倒しましたからね。

久松 びっくりしました。
魔裟斗 凄い試合でしたね。

――具体的に「これがよかった」というシーンは?

魔裟斗 最後、ヒザと左ミドルでしたかね。

関根 三日月蹴りも入ってましたね。

魔裟斗 木村のパンチをクリーンヒットさせなかったですよね。あそこの和島の技術が良くなってな。ヒザとか三日月蹴りでボディを削っていって、最後は左ミドルでバチンと。

関根 ちょうど目の前だったんですよね。

魔裟斗 しかも「木村ミノルK-1ファイナル」で、和島が綺麗に行かせなかった。

関根 意地ですよね。そのまま美味しいものを持っていかせるか、って。

魔裟斗 試合の翌日、インタビューさせて貰ったんですけど「こんな謙虚なチャンピオンがいるのか」というくらい謙虚で。あの木村をKOしたんだからもうちょっと偉そうにしてもいいのにな、と思うくらい(笑)。でも好感の持てる青年なので、関根さん、もっと「べしゃり」を教えてもらえますか。

関根 ちょっと食事でも行って(笑)。70kgは元々魔裟斗さんがチャンピオンだったところだから。あと、木村選手はパワーが凄いから。筋肉量が凄くあって、出力が凄いからどうしてもスタミナが無くなってくるんですよね。排気量の大きい車みたいで。それを和島選手は3Rまで持たせて、スタミナを削っていきましたよね。いろんな作戦をちゃんと立ててましたよね。

魔裟斗 あの木村のパンチをディフェンスするのは神経を擦り減らすと思うんですよ。もの凄い緊張感で、貰わずに我慢して、よく勝ちましたよね。

関根 あと、和島選手は体が良くなりましたね。デビューした頃はポチャッとしてたのが筋肉のよろいが乗っててね。あ、期待できるな、と思いましたね。

魔裟斗 まだまだ強くなりますね。

久松 まだ25歳ですよね。これからもっと期待できますよね。

関根 70kgクラスは外国人選手が強いから、早く見たい。魔裟斗さんみたいに外国勢を倒していくとK-1はもっと盛り上がりますよ。

――続いて関根さんのベストバウトは?

関根 もちろん、武尊vsペタス戦なんだけども、ちょっと印象に残ってるのが新美貴士vs軍司泰斗なんですよ。新美って根性が凄いんですよね。でも軍司も根性が凄くて、あの試合に勝ってタイトル挑戦にいけた。

――打ち合って打ち合って。

関根 ダメージは大丈夫かな、と思ってね。ああいう熱い試合っていいですよね。あれはよかったんですけど、でも武尊のね、会場ガラッと変えてしまう雰囲気。レオナという強敵、最強じゃないかっていうイメージがありましたよ。それをああいう形で倒すのが、やっぱり武尊って凄いなと思ってね。

久松 私も同じです。ベストバウトは武尊選手とレオナ選手。会場の雰囲気とか試合内容とか、すべてがベストでしたよね。

関根 1ラウンドが終わって、喉が渇いちゃったもんね。

魔裟斗 一瞬、武尊はヒヤッとしたパンチがありましたよね。

久松 ありました。

関根 武尊の1つの秘密、意外と打たれ強いんですよ。

――確かに映像で見ると相手のパンチも当たってますね。

関根 でもダウンとか見たことがないでしょ。1敗は、鼻が折れて負けてるんだもんね。武尊だけじゃなくて、世界のボクシングを見てもチャンピオンクラスは打たれ強さがあるんですよ。

魔裟斗 確かにカネロ(サウル・カネロ・アルバレス)とかものすごく打たれ強いですね。

関根 そういうところもあると思う。

久松 それって天性のものなんですか?

魔裟斗 天性ですね、打たれ強さは。

関根 それと鍛えてるのもあると思う。だから朝久泰央は打たれ強いんじゃないかな。

魔裟斗 あと一瞬、ズラすのもありますね。一般の人が見たらクリーンヒットかなというのもちょっとズラす。それが大事なんですよね。

――2021年、K-1では新王者が続々と誕生しました。新王者、そして新世代についてのお話を。はじめに木村“フィリップ”ミノル選手をKOしてスーパー・ウェルター級の新王者になった和島選手、ゴンナパー選手に勝ってライト級新王者になった朝久泰央選手。

魔裟斗 和島は70kgで、外国人に劣らない骨格をしてるなと。まだまだこれからトレーニングして、パワーも付いてくると思うので、まだまだ強くなっていくと思うんですよね。あと、若い選手が多いっていいですね。

関根 和島選手、朝久選手に共通して言えるのは蹴りが強いこと。和島選手はデビュー間もない頃に新宿FACEで見て、左ミドルで圧倒的に勝ったんですよ。「和島っているんだ。こっちの和なんだ」と(笑)。あの頃はまだポチャポチャしてたんですけど、体も変わりましたよね。

魔裟斗 そうですね、急に体つきが変わりましたね。

関根 あのミドルキックをもっと磨いていただいて。ミドルとローを磨いて、パンチを覚えれば外国人選手にもいけるんじゃないかな。

――5月にはバンタム級で日本最強決定トーナメントがありました。優勝したのは黒田斗真選手。

久松 めちゃくちゃ番狂わせでしたね。誰も優勝予想に挙げてなくて。

魔裟斗 あれも全試合KOでしたっけ? 1つが判定か。それもダウンを奪っていて。決勝の壬生狼一輝との試合も1RKO。

関根 壬生狼一輝はKrush王者で、前評判は高かった。

――黒田選手は21歳。体もこれから大きくなる。

魔裟斗 全然これからですよ。あと、椿原龍矢も良かったですね。タイトルマッチの江川優生との試合。もうフックワークを使って、江川のパンチを封じましたからね。あれは江川はイライラしたでしょう。江川がパワーで行くのかと思ったら、椿原が空回りさせて。椿原はチャンピオンになってからオーラが出ましたね。

関根 でもこの間、軍司が勝利しましたよね。軍司は前から強かったのに、大事なところでつまずいててね。今回やっと花開いて。でも軍司もまだ若いもんね。

――22歳です。

魔裟斗 まだ22歳? 軍司ってK-1にずいぶん昔から出てましたよね。

関根 そう。26歳くらいに感じるんだけど(笑)若いのよ。

久松 確かに。同世代くらいだと思ってました。

――3月「K'FESTA Day.1」の後、Day.2の前日会見で中村拓己K-1プロデューサーから「K-1はKOを狙って、倒しに行く競技だ」と、K-1の競技性や判定基準を再定義する話がありました。あれ以来、K-1選手たちの戦い方がよりK-1らしさが感じられるようになりましたか?

魔裟斗 やっぱり椿原と江川の試合で、江川がずっとプレッシャーを掛けて、椿原がステップを使ってポイントアウトした。あれが賛否を呼んで「プレッシャーを掛けてた江川がポイントを取ってたんじゃないか」という見方も出来ると。それで「よりアグレッシブな方がポイントになる」となったんですね。

関根 椿原に関しては、その発表があってから前よりも前に出てました。軍司戦も前に出てて、意識が変わったんじゃないですかね。

魔裟斗 やっぱりK-1は3ラウンドの戦いなので。ボクシングのように長丁場10ラウンド、世界戦は12ラウンドあるんで、アウトボクシングしながら削って、10、11ラウンドあたりで倒しに行く戦い方はありますけど。3ラウンドの勝負は出来るだけアグレッシブに戦うようになりますよね。あとはトーナメントっていうのが根本的にあると思うんですけど。

――魔裟斗さんから見た椿原選手は?

魔裟斗 アウトボクシングをしながらも1発のパワーはあって、倒せない選手ではないので。上手く戦いながらも、3ラウンドの中でプランを変えていけばいいですよね。1ラウンドはステップを使いながら距離感や様子を見て、2、3ラウンドで倒しに行くとか。そういう戦い方にチェンジしていってほしいなって思ってるんですけど。

――今、名前の挙がった黒田選手が21歳、軍司選手と椿原選手が22歳、朝久泰央選手が25歳、和島選手が26歳。若い選手がどんどん出てきてK-1チャンピオンになっていく。新世代については?

魔裟斗 今は、武尊がメインを張ったり「まかせてる」部分があるんじゃないかな。どんな試合でも、最後は武尊が締めてきたわけじゃないですか。武尊も最初はそうではなかったけど、ある時から「K-1を引っ張る」という意識を持ってからは顔つきも変わってきたと思うんですよ。そろそろ若いチャンピオンたちが「2022年は俺たちの時代だぜ」っていう意識を持ってリングに上がってくれると、表情も発言も、もちろんファイトスタイルも変わってくるし。それが選手のためでもあるし、K-1がさらに発展していくために必要なことじゃないのかなって僕は思ってますね。

関根 やっぱり若いうちは若さを全面に出してほしい。1ラウンドからガンガンもう。武尊選手が若い頃、そうだったんですよ。Krushで「ただ勝っただけではオファーが貰えない。派手にKOしないと次の声が掛からない」って。それを若い人に意識してほしい。勝ちたい、だけじゃなくて。それはやっぱりパンチを受けて負けるのも恐いですよ。だけど、踏み込んでいって「勝って上に行くんだ」っていうのを見せて貰いたいですよね。時々、そういう選手がいるんですよ。そうすると、魔裟斗さんが嬉しそうに『若いうちはこれをやって貰わないとダメだよ』っていうんですよ(笑)。

魔裟斗 そうですね。若いうちからテクニック使って判定狙いだと、面白みはないですよね。

関根 魅力もないよね。マッチメイクを見た時に「お、この選手出るんだ。いいな!」ってなって貰いたい。

――お客さんとの勝負でもある。

関根 結局プロってそうなんですよ。昔、アーネスト・ホーストがK-1GPに4度優勝して、K-1のホームページを見たら「ジェロム・レ・バンナが大きく載ってた」ってものすごく怒ったんですよ。でも「格闘技通信」の編集長に言わせるとね「でもね、ホーストが表紙だと売れないんですよねー」って。

久松 えー、そうなんですね。

関根 プロは勝つだけではダメなんです。バンナって優勝しないけど面白かったじゃないですか。僕らはホーストの試合も面白いですよ。でも一般の人は「なんか地味だな」って思っちゃうんですよ。これが難しいところで。負けても人気が落ちない人もいるんですよ。アンディ・フグとか佐藤ルミナとか。そういう選手を目指してほしい。

魔裟斗 久松さんは朝久推しじゃなかったでしたか?

久松 朝久選手推しでした。最近、朝久選手とか和島選手とか、優し目な人が多いのもすごくいいんですよ。でも私がK-1に参加させて貰った時って、小澤海斗選手と武尊選手がバチバチの時で、二人とも上がっていったじゃないですか。そういうヒールっぽい若い選手が最近いないな、と思って。今後、そういう選手が出てこないかな、って楽しみですね。

魔裟斗 黒田がそんな感じじゃないですか?

久松 そうですね。でも喋ると優し目なんです。

関根 自己プロデュースっていうのかな。そういうのも大事。

久松 芦澤竜誠選手とかいいですよね。なんか注目しちゃいます。

魔裟斗 若い世代には、実力プラス自己プロデュースも見せてほしいですよね。

<3>に続く。

 

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